引き続き昔読んだ本シリーズ。
残業ゼロ!仕事が3倍早くなるダンドリ仕事術
(吉山勇樹,明日香出版社,2008)
人生へのモチベーションが下がっていた頃、ラノベ感覚で自己啓発本を読んでは社会性を保っていた頃があった。その頃に読んだ本が出てきたので再読。
論旨
仕事を効率的に進めるためには、ToDoリスト等を活用してタスク管理をして、上司等とあらかじめ成果物のイメージを共有し、他の人に仕事を振り、自分にしかできないことに時間を投下する。という話が書いてある本。
以下は各章毎のtipsの抜粋。
1.時間をコントロールする技術
- 集中時間を作り、その間は仕事の障害になる電話やメール、問い合わせを排除する。
- 目の前の作業に取り掛かるより全体の構成をイメージする。
- 自分の作業に「標準時間」の意識を持つ。その作業にどれだけ時間がかかるか。
- 全ての仕事にデッドラインを設定する。「何をいつまでにどうするか」whatとwhenを明確にする。
- 効率化のキモは「ながら作業」。複数の仕事を同時進行で進めるために、他人が絡む作業を早めに着手し、他人に投げている間に他の作業を進める。
- 残業しないキャラ作り。定時に切り上げ、テキパキ仕事をしているイメージ作り。
- 完璧ではなく「良い加減」な仕事を。仕事毎に適切な力加減がある。ex.資料作成で50%の段階で上司にレビューを受ける。
- 巻き込み上手になる。自分は巻き込んだ関係者をコントロールする側に立ち、同時進行で仕事が進むよう進捗管理。
- 会議・商談に効く「あす・よろ」メールの活用。前日に参加者、議題、役割分担、前回の宿題等を記載した「明日の会議よろしく」メールを送ることで参加者に目的意識をもって参加してもらう。
2. スピードアップの技術
- スキマ時間を大切にする。ex.10分のスキマ時間が1日1回あれば年間で1日半になる。
- コミュニケーションツールを有効に選択。ex.お金にまつわる(契約・見積)の話はメールで何度もやり取りするより感情もわかりやすい電話の方が有効。
- 仕事はコツコツ先行逃げ切り型で。重要度/緊急度で優先順位を設定。毎日のスキマ時間で重要度が高く緊急度の低い仕事を進める。
- 仕事は簡単かつ効果の上がるところから着手。効果/難易度で仕事を整理。
- 小さい仕事はどんどん捌く。即処理できる仕事はどんどん捌き、手持ち仕事を減らす。ex.お礼の電話、メールの返事、アポイント調整、デスク整理
- やりっぱなし仕事を徹底的になくす。仕事が完了する毎に改善案、不備はなかったか考え、次の仕事の教訓とする。
- 一発OKを目指さず、こまめに経過チェックを受けることでギャップをなくす。
- 余計な仕事をどんどん切り捨て、自分にしかできない仕事に時間と労力を投下する。
- 気がひける仕事ほど早く処理する。ミスやトラブルほど早く周囲と共有し、なるはやで対処する。
- 「ホウレンソウ」はソウレンホウの順番で行う。方針や段取りを相談、途中経過を連絡しアドバイスをもらい、完了報告する。
3. プロジェクトをうまく動かす技術
- 前日に明日やるべきことを一覧にしておく。cf.筆者は今週やるべきことリストも作成している
- 何のために仕事をしているか明確にする。目的のない仕事をしない。
- ゴールまでの道のりは細切れに考え、段階を踏んだアプローチをする。年単位の目標も月/週/日単位にブレイクダウンする。
- 周囲を味方につけるためには①その人のことを好きになる。cf.良い所探しをする、自分との共通点を見つける。②見返りを求めない。
- GPDCAサイクルで仕事をする。G=Goal(ゴール設定)。
- 段取り良い仕事の基本はToDoリストの作成。作成の際はMECEを意識する。
- 時間の見積もりはスムーズにいった場合の1.5倍にしておく。過去実績からの類推も重要。想定外のトラブルに備える。
- オールマイティを目指さない。自分の弱さを見せて周囲を巻き込んで仕事する。周囲の専門家にサポートしてもらえばいい。
- 事前の根回しが段取りのキモ。周囲にもそのつもりでいてもらう。ex.会議資料作成の場合、自分の描いたストーリーや方向性を上司に確認。進捗3割で中間チェック。
- 仕事の範囲を設定する。どこまでやれば終了かを周囲と共有しておく。
- 振り返りとナレッジベース化を徹底。成功事例・失敗事例を自分なりに毎回整理。
4. モチベーションをマネジメントする技術
- 自分のやりたい仕事をする。チャンスを自ら掴むためにどんどん挙手して仕事をする。
- ONとOFFを区別しない。仕事とプライベートを線引きしない方が仕事の中で親友ができたり、チャンスは増える。
- 集中仕事はこもれる場所で行う。会議室やカフェ等、外部からの連絡をシャットアウトする。
- 論理的に考え、筋道立てた上でがむしゃらに取り組む。それが効率改善やレベルアップにつながる。
- モチベーションが下がったりパニックになったら、ラクな仕事をこなして充実感を得る。
- 20代は自己投資期間。失敗しても死ぬことはないので積極的に物事を経験し、楽観的に生きる。
5. 考える力をアップする技術
- 考えるより書き出す。タスクや考えを書き出すことで改善の余地が見えやすくなる。
- 物事を段取り良く進めるためには逆算の発想でイメージを膨らませる。実現のために何をすべきか?
- 理想や目標をもって仕事を進める。理想と現実のギャップを抽出することで課題が見えてくる。
- あらゆる場面で「自分ならどうするか?」のイメージトレーニングをする。
- インプットしたら都度アウトプット(ex.資料に落とし込む、人に教える、ブログに書く)する。次のインプットの方向性や必要性が見えてくる。
- 引き出しをたくさん持つ。選択肢を増やすためには自分の経験を活用する他に、周囲を巻き込んでアイデアを出すことも有効。
- 全ての仕事は問題解決。根本原因を「5回のなぜ?(トヨタ式)」で見つけ、解決策を打つ。
- 自分の仕事を棚卸し、整理する。優先順位や他人に振れないか、進め方は改善できないか等。数字的な整理(作業時間や訪問回数等)も有効。
- 身近にある成功事例を活用する。ex.仕事のできる先輩の真似をする。
6. ツールをうまく活用する技術
- スキマ時間は手帳から発見する。15~30分刻みで1日のスケジュール管理できる手帳を使う。
- チェックリストの活用。定例作業や行事等の頻度の高い仕事はチェックリストを作成しておけば誰でもできるようになる。
感想
段取り良く仕事を進める上では基礎的かつ重要なことがわかりやすい文章でたくさん書いてあって、大学生や若手社会人、あるいはこの類の本を読んだことがない人にとっては非常に意味のある内容だと思う。
ただし、仕事にこなれた中堅ビジネスマンに驚くような発見をもたらす内容ではない。
MECEが大事と書いてるわりに、体系的というより単発のtipsが並べられていて、各章で重複する内容があったりしたのが気になる点。今回のざっくり抜粋でも結構かぶりがある。ただし、同じトピックや似た例が繰り返し出てくる分、重要度はわかりやすい。
具体性に欠け、ふわふわしたtipsも結構あるので、しっかり熟読するというよりは、ぱらぱらめくって役立ちそうなことだけつまみ食いするのが良さそう。
残業ゼロ! 仕事が3倍速くなるダンドリ仕事術 (アスカビジネス)
- 作者:吉山 勇樹
- 発売日: 2008/12/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)