昔取ったポカリスエット柄

読んだ本の感想とか、日常の出来事や考え事を書いていくタイプのブログ。

要約・書評:読書の技法

スポンサーリンク

正月明けは意識が高いのでブログを更新することがある。

読書の技法

(佐藤優東洋経済新報社,2012)

いつだって速読の仕方や読書の仕方を書いた本は売れている。人は本を読むための本を読むことが好きだ。
たまたま本屋で速読術に関する本が売れ筋コーナーに置いてあって、ぱらぱらとめくるうちにこの本のことを思い出したので、随分昔に買って、随分昔に一度読んだままの本書を再読。

論旨

時間が人間にとっての最大の制約条件。人が本を読む上でも同様。
知識を身に着けるためには「正しく」本を読む必要がある。そのためには①速読により読まない本を判別する、②その前提として基礎知識を身に着ける。 何を読んで何を読まないかも大切な知の技法。

  • 熟読の技法

本には、簡単に読める本(わかりやすく書かれた新書等)、そこそこ時間がかかる本(標準的な教養書)、ものすごく時間がかかる本(語学や数学の教科書)の3種類がある。
熟読できる本には限りがあるため、速読により読まない本をはじく。熟読する本は書店員等の専門家のアドバイスの活用が簡単で確実。

熟読では3回読む。基礎知識がない分野の場合、用意した基本書の内、もっともしっかりしたものを以下のように読む。
1回目は通読し、鉛筆で重要な箇所に線を引く。
2回目は約10日かける。1回目で線を引いた個所のうち特に重要な箇所に囲みを作る(全体の1/10まで)。その後囲みの部分をノートにうつし、適宜感想等のコメントを欄外に残す。
3回目は3~4日かける。目次を頭に入れ、結論部分を3回読み、その後通読する。
2冊目以降の基本書は、その分野の知識を理解しているため、1~3の工程を4~5日で完結させる。

  • 速読の技法 (超速読)

一冊の本を5分で読む超速読により、①熟読する本、②普通の速読(30分程度で読む)の上、読書ノート(30分程度で作る)を作成、③普通の速読をするが読書ノートを作成するほどではない、④超速読にとどめるの4つのカテゴリーに分類する。
超速読は序文の1ページと目次を読んだのち、ページ全体を見るイメージでページをめくり続ける。気になる箇所は後で見直せるよう鉛筆や付箋を残す。結論の最後のページを読む。5分以上かけない。
超速読により、自分にとって有益か、時間をかけて読む必要があるかを判別する。そのためにはその分野の基礎知識が必要。

普通の速読は30分かけて読む。新聞の読み方の応用。その手法は以下の通り。
1. 「完璧主義」を捨て、目的意識を明確にする
100%内容を理解しようとしない。自分がその本を読む目的に沿うように速読する。
2. 雑誌の場合は筆者で読むか判断
3. 定規をあてながら1ページ15秒で読む
内容にひっかかり同じ行を何度も読むことが速読における時間ロスの最大の要因
4. 重要箇所は鉛筆で印をつけ、付箋を貼る
5. 本の重要部分を1ページ15秒、残りを超速読する
目次、まえがき、結びを読み、自分に必要な部分だけ1ページ15秒で速読する。残りは超速読にとどめる。
6. 大雑把に理解・記憶し、「インデックス」をつけて整理する
内容を大雑把に理解・記憶し、あの本のあの部分に記載があった、あの箇所にあたればあの情報が出てくるという情報を自分の中で整理しておく。将来参照する必要が出た際に必要な情報が正確に取り出せれば良い。

  • 何を読むか

知識の欠損部分を把握し埋める。基礎知識においては、高校レベルの内容についてどの部分に欠損があるか把握することが特に重要。教科書と参考書の活用が有効。

感想

科学的なアプローチではなく、知識人として評価の高い著者の経験則に基づく読書の手法の紹介。結局のところ速読は熟読のための手法にすぎないという筆者の考えが強く伝わってくる内容。コンサルに代表されるような、自分の知らない分野の知識を短期間で最低限身に着けることが必要になる業種の人には役立ちそう。
多くの人がこの通りにするか、できるかという問題(熟読の2回目の手法や読書ノートのあたり)はあり、けれどそこがこの手法の根幹の一部だったりする。
結局は基礎知識と教養・リベラルアーツをちゃんと身に着けて物理で殴れって話なので、なかなかハードルが高い。 また、実際の書籍の中では超速読、速読、熟読の実例や、基礎知識を身に着けるために具体的にどの本を読むべきかなんて話も出てくるので興味深い。

他の速読術や記憶術の類の本でも、ノートや情報を残すことが記憶に残すために重要って話はよく出てくるし、実際このブログだって読んだ本が頭に残ればいいなと思って書いてる節があるので、アウトプットを活用するという現実的な手法だと感じる。

読書の技法

読書の技法

  • 作者:佐藤 優
  • 発売日: 2012/07/27
  • メディア: 単行本