要約・書評:読んだら忘れない読書術
珍しく意識が継続していた。が、そろそろ年明けの仕事が忙しくなってきて意識レベルの低下が進んでいる。
読んだら忘れない読書術
(樺沢紫苑,サンマーク出版,2015)
前回(要約・書評:読書の技法 - 昔取ったポカリスエット柄)に引き続き本の読み方の本。
やっぱりいつだって速読の仕方や読書の仕方を書いた本は売れているし、やっぱり人は本を読むための本を読むことが好きだ。
そういえばこんな本も読んだし家にあったなと思って再読。この時点で既に読んだのに内容を忘れている。人は物事をよく忘れる。
確かこの本は発売当初、ひたすら電車や日経の広告でプッシュされてたなという記憶だけが残っている。
論旨
本を読む理由8つ
- 結晶化された知識:1年たって古くなるのが情報、10年たっても古くならないのが知識。実践可能、応用可能。
- 時間:本により他人の知識を使え、あらゆることの時短が可能
- 仕事力:文章を上達させるにはたくさん読んでたくさん書くしかない
- 健康:問題の対処法、解決法を調べ、言語化し、コントロール可能とわかるだけでストレスの大部分はなくなる
- 頭がよくなる
- 人生における変化:選択肢を広げる。他人の経験を活用する。
- 成長:自己成長が促進され、行動も変わる読書をすべき⇒忘れない読み方
- 喜び
読んだら忘れない読書術の基礎3つ
1週間で3回アウトプットする
最初のインプットから7~10日以内に3~4回アウトプットする。(cf.脳科学、受験勉強)
①本を読みながらメモをとる、マーカーでラインを引く。汚く読む。気づきや役に立ちそうな言葉にラインを引く。1冊で1行×3ヶ所のイメージ。
②複数の切り口で人に勧める。
③ソーシャルメディアに感想を残す。本の感想や気づき、名言をfacebookやtwitterでシェアする。自分の目にも入るので復習効果が期待できる。物足りなくなってきたら書評、レビューを書く。
④アウトプットを前提に読むこと、レビューは翌日以降書くこと(感想は当日でも良い)でスクイーズ(知識や気付き)を増やす。スキマ時間で効率的に読書する
制限時間を決めて読むことで集中力が高まり記憶に残りやすくなる。
①60分よりも15分×4の方が集中できる。脳科学的に見て、15分という時間は極めて集中して仕事ができるブロック。(通常の集中力が維持できる時間は45分。少し休憩を挟めば集中できるのが90分)
②スキマ時間以外にインプットするなら寝る前。最も記憶に残りやすい。また、睡眠前の読書は心身をリラックスさせる効果がある(タブレット、電子書籍は別)。速読より深読を意識する
読んだ本の内容を説明でき、内容について議論できる水準で読む。量を読む前に質を担保。議論できない水準では読んだことにならない
具体的な読書術
読み始める前に全体をパラパラ読む
①全体を把握する、②本を読む目的(何を知りたいか)を設定する、③「速読」か「精読」か決める(内容の濃さ、密度、引用文献の量等から判断)ことが目的。知りたい部分から先に読む
たとえば実用書であれば知りたいことは「方法」。根拠、裏付け、実例も多く書かれているが、自分の知りたいこと(結論)の書いてある章から先に読み、深堀したいところに飛んで読むを何度か繰り返すと、最も記憶に残りやすい最初の5分で一番知りたいことの要旨がわかる。ギリギリの難しさで読む
人の脳は自分の能力よりも少し難しい課題に取り組んでいるときに最も活性化する。本を読む場合は「本の内容」「読むスピード」の2つの難易度設定が可能。本の内容は決まっているが読むスピードでストレスをかけることは可能。わくわくしながら読む
昔熱中して読んだ漫画は案外忘れない。ドーパミンが分泌されている=わくわくしているから。「面白そう」と思って買ったら買った直後から読まないともったいない。(著者感想:これは本当にその通りで、買って半月以内くらいに読まないとだいたいそのまま読まないで積読になる。ので、あんまり行儀は良くないけど、私自身は読んで面白かった本を買っている節がある)著者に会いに行く
講演を聞き、非言語的メッセージを受け取ると理解が深まり忘れない
本の選び方
たくさん読むより何を読むかが大事。本当に良い1冊を読むためにはどの本を読むか選択することが大事。
守破離を意識 守=基本書、破=応用書(他人の方法を学ぶ)、離=ブレイクスルー(自分のスタイルを模索する)。往々にして「離」の本から読みたくなるが、自分の今のステージにあった本を読むことが効率的。まずは基本書でその分野の基礎知識と全体像を理解する。
人が推薦する本を読む
なりたい人が書いた本、なりたい人が勧める本を読む。キュレーターの意見を参考にする。
その他、自分が読みたいかを判断軸にする、直感に従う、参考文献・引用元を辿る、バランスよく幅広く読む等。
1冊ずつ元を取ろうと考えず、年間予算を立てる(ex.100冊/年買って、3冊の「本当に良い1冊」を読む)、本を買うか迷う時間がもったいないので買うかは即断する。
本は3種類に分類できる。①仕事で使う(引用、参考文献等)ので手元に保管する、②2度以上読むべき本(精読すべき本)、③1度読めばよい本(30~60分の速読で済ます)
感想
前回記事と比較すると、共通のことも結構あって面白い。前回が「未知の分野の知識」を収集する方法に力点が置かれていたのと比較して、今回の方がよりビジネス書のような「ノウハウ」を収集する方法に力点を置いている印象。切り口や手法は違えど、結局、精読する本を選ぶために速読があって、精読した本をいかに知識として活かせるかが肝要というお話。
というか、再読して気付いたけど、ブログに書評を残そうとしてるのって、この本の影響のような気がする。
と思って確認したけど、書評や要約の類を書き始めたのが2014年で、この本の初版が2015年だから順番が逆だった…。
ちなみに、アクセス解析かけると、この類の記事では最初の記事が一番アクセス回数が多かったりする。
要約:「社会調査」のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ - 昔取ったポカリスエット柄
授業で読めと言われた大学生あたりが調べてたどり着いてるような気もする。
- 作者:樺沢紫苑
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)